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2018年1月19日金曜日

NIVやNasal-high-flow, O2投与患者における挿管リスク因子

21 ICUにおけるRCTPost hoc analysis.
急性呼吸不全でHIVNasal high flow管理となった患者において, 気管挿管, 人工呼吸器管理へ移行するリスク因子を評価した.
(Crit Care Med 2018; 46:208–215)
・患者はRR>25/min, P/F≤300, PaCO2 <45mmHgを満たし酸素投与(≥10L/min), NIV(VT7-10mL/kg, PEEP 5cmH2O), Nasal high flow(50L/min)のいずれかで管理された群を対象
・重症好中球減少症, Acute-on-chronicの呼吸不全, 心原性肺水腫, Shock, 意識障害症例は除外
・管理開始1時間経過しての各パラメータと, その後の挿管/人工呼吸器管理リスクを評価した.

気管挿管基準は以下とした.
・呼吸状態の増悪, 改善が乏しい: 以下の2項目を満たす
 呼吸数>40/min, 
 呼吸補助筋の過度な使用が持続
 多量の喀痰
 動脈血pH<7.35,
 SpO2<90%5分以上持続
・血行動態不安定
・神経所見(意識状態)の増悪

患者は310例で, 45%が気管内挿管を必要とした
・このうち92%が呼吸状態の増悪, 改善が乏しいことで挿管を行なった

Baselineのパラメータと最終的な気管挿管リスク
Baselineでは呼吸回数が多いほど挿管リスクが高い

酸素投与, NIVなど管理後1hでのパラメータと挿管リスク
・酸素投与群では呼吸回数
・Nasal high-flowではDiscomfort

・NIVでは呼吸回数, P/F<200, 呼気VTが挿管に関連する

挿管リスク因子とそのOR

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初療時以外にも, 管理中の呼吸数のフォローはその後の気管挿管・人工呼吸器管理を予測する因子として重要.
「酸素投与やNIVを行なっていても呼吸回数が早いなぁ。。。いやだなぁ。。。」という感覚は大事という根拠になります
Nasal high flowでは関連性は乏しく, 頻脈が嫌なサインとなりそう

VAP予防の10項目

スペインにおける181施設のICUが参加(全体の75%)した前向きStudy(Pneumonia Zero project). 
(Crit Care Med 2018; 46:181–188) 

・VAP予防も10項目を行うように介入(7項目は必須, 3項目は強く推奨)した前後のVAP発症率を前向きに評価.
患者は成人例で24時間以上ICUに滞在する症例を対象
 20104月~6月の3ヶ月間に入室した患者群でVAP発症率のBaselineを評価
 20114月~201212月に入室した患者で上記10項目に対する介入を施行
 両期間でのVAP発症率を比較した.
・VAPXP, CTで肺炎像があり, ≥38度の発熱もしくはWBC≥12000, ≤4000を満たす患者で, 以下の1項目以上を満たす場合に定義
 新規の膿性喀痰の出現/喀痰の性状の変化
 咳嗽/呼吸苦/頻脈
 肺炎を示唆する呼吸音の異常
 酸素化の増悪
2nd肺炎は初期と異なる画像所見や初期と異なる細菌による肺炎, 臨床的改善を認めて2日以上開けて増悪する肺炎で定義

予防の10項目

介入前のこれら項目へのアドヒアランス

介入前後のVAP発症頻度

・介入後早期よりVAP頻度は低下している
 介入後1年半経過したころから約数まで低下.

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VAPを減らすための10か条(すべてが必要かどうかはわかりませんが)をしっかりとやることでVAPの頻度は長期的に半分にまで減らせる可能性がある.

こういうのをほぼ国全体でやれるのが正直スゴイなぁと思う.
日本とは仕組み自体が違うのだろうけども.

2018年1月13日土曜日

胸腺腫と免疫不全

胸腺腫は様々な自己免疫疾患に関連する腫瘍.
 有名なところでは重症筋無力症, 赤芽球癆, 辺縁系脳炎, 橋本病
 他にはSLEやシェーグレン, MCTD, 全身性硬化症, RA
 血液疾患では再生不良性貧血, ITP, AIHA
(Adv Clin Exp Med. 2017;26(2):237–243)

組織で証明された胸腺腫 85例の解析
(Autoimmunity Reviews 15 (2016) 82–92)
・このうち47例で自己免疫疾患を合併(55%)
 重症筋無力症が33例と最多
 橋本病 4Isaac症候群 3(VGKC抗体関連の四肢の筋けいれん, ミオクローヌスなど生じる病態), Morvan症候群 2(さらに自律神経症状を伴う重症型), 
 PRCA 2SLE 2Lichen planus 2
 他, 再生不良性貧血, AIHA, 辺縁系脳炎, Good症候群, Pemphigus, 自己免疫性肝炎, Graves病が各1
32例は胸腺腫診断前に自己免疫疾患を診断9例は同時に診断, 7例は胸腺腫切除後に発症, 診断された.

胸腺腫では自己免疫疾患のみならず, 免疫不全を伴うことが知られている
具体的には, T細胞の減少, B細胞の減少, 低ガンマグロブリン血症(Good症候群)

18例の胸腺腫症例の評価(うち6例で再発性の感染症あり)では,
 T細胞の減少が22%
 B細胞の減少が50%
 IgG,A,M全部のγグロブリンの減少が22%(4)で認められた.
(Ann Hematol (2003) 82:343–347)

正常値:
 IgG 7-16g/L, IgA 0.7-4.1g/L, IgM 0.4-2.3g/L
 CD3+ T cell: 65-85%, 1000-1500/µL
 CD19+ B cell: 7-15%, 70-225/µL
・B細胞数の低下症例9例中低γグロブリン合併(IgG正常下限含む)5.(低γグロブリン例の5/7)
再発性の感染症を呈した患者は●

Good症候群
Good症候群は胸腺腫, 低γグロブリン血症, B細胞の消失/減少, T細胞の減少, CD4+/CD8+ T細胞比の逆転, T細胞のMitogen proliferative responseの低下を特徴とする病態
・後天性免疫不全の1つであり, Encapsulated bacteria, 真菌, ウイルスの繰り返す感染症を呈する.
・イメージとしてはCVIDでB細胞が消失し, なおかつ胸腺腫を伴う病態.
(Chin Med J 2017;130:1604‐9. )(Ann Allergy Asthma Immunol. 2007 February ; 98(2): 185–190. )

中国人のGood症候群 47例の解析
(Chin Med J 2017;130:1604‐9.)
・血液検査所見

・自己免疫疾患の合併
・感染症合併頻度

Good症候群152例の解析
(Clinical Immunology (2010) 135, 347–363)
・胸腺腫+低γグロブリン血症を満たすCase reportを検索し, データをReviewした.
患者の診断時年齢は59.1, (25-90)
 女性79, 男性73例とほぼ同等
・低γグロブリン血症や感染症, 下痢の前に胸腺腫が判明していた症例は42.4%. 3ヶ月~18年先行して認めていた
 上記出現後に診断されたのは19.7%. 3ヶ月~15年遅れて診断
治療後に免疫不全の改善を認めたのは37.5%のみ変化なしが18%, 
 44.5%は経過観察期間に死亡し,このうち59.6%は感染症による死亡であった.

・血液検査データ


・自己免疫疾患の合併

・感染症の合併


同じ後天性の低ガンマグロブリン血症を呈する免疫不全であるCVID(Common variable immunodeficiency)とGood症候群の比較

フランスにおける免疫不全のCohort study(DEFI).
(Clinical Infectious Diseases® 2015;61(2):e13–9 )
・低γグロブリン血症はIgG<5g/L, IgA<0.7g/L, IgM<0.4g/Lで定義
・成人例の特発性低γグロブリン血症症例の評価にてGood syndrome21.
 CVID440(このうちB細胞陰性CVID*39)
 *末梢血B細胞<1%で定義

3群の比較
Good syndromeは最も高齢で発症
 また菌血症や肺炎の頻度が高く自己免疫疾患の合併も多い.
脾腫を伴うことは少ない

免疫グロブリンの分布
・免疫グロブリンはGS, CVIDで差はない.

CD4+ T細胞はGSで低くなる.
・GSでは404/µL[340-714],
・CVIDでは842/µL[413-842]
・B-CVIDでは575/µL[313-778]

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自己免疫疾患を伴いながら、免疫不全も呈するというのがCVIDと胸腺腫の興味深いところです.