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2017年1月20日金曜日

生後半年で鶏卵を少量から摂取させた方がアレルギーは少ない

小児期の食物暴露が少ないほど食物アレルギーのリスクとなる

生後半年程度で色々な食事を食べさせると食物アレルギーリスクは低下するかも


でも紹介したように, 生後半年前後で色々食べさせると食物アレルギーリスクは低下する.
その国産のエビデンスが発表されたため, 紹介

(Lancet 2017; 389: 276–86)
PETIT trial: 日本国内の2施設で行われたDB-RCT.
・生後 4ー5ヶ月のアトピー性皮膚炎を有する乳児を対象とし, 鶏卵摂取群 vs 非摂取群に割付け, 生後12ヶ月まで継続.
 鶏卵アレルギーのリスクを比較.

・鶏卵摂取群は加熱鶏卵をパウダー状にして, 6ー9ヶ月は50mg/d, 9-12ヶ月では250mg/dを摂取.
 * 50mgあたり, 25mgの鶏卵タンパクを含有. 15分茹でた卵 0.2g分.
 初回投与時と増量時は病院を受診し, 2時間の経過観察を行いつつ摂取.

・除外項目: 37週未満での出生, 鶏卵/鶏卵製品の摂取歴がある, 鶏卵に対して早期アレルギー反応の既往がある, 食品に対して非早期アレルギー反応の既往がある, 重症疾患を合併している患者

・アウトカムは12ヶ月におけるOral food challenge(OFC)で評価された鶏卵アレルギーの頻度を比較.

母集団のデータ
・StudyはN=200を予定していたがN=100時点での中間解析により有意差を認めたため, 途中で終了.

アウトカム

・鶏卵アレルギーは有意に摂取群で低下する結果
 RR 0.221[0.090-0.543], NNT 3.40[2.30-6.52]

特異的Igの評価

・鶏卵摂取群では, 12ヶ月でのIgE値は低く, IgG, IgAは高い

副作用の頻度: 両者で有意差はない

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生後半年くらいから色々なものを食べさせ始める, というのは後のアレルギー予防にも大事なのであろう. 
じんま疹やらアトピー性皮膚炎やら, リスクがある患者ほど嫌厭してしまいがちであるが, むしろそちらの方が, 少量から少しずつ増やすことで予防効果が期待できる. 
NNT 3.4というのは, 超すごいということです.

2017年1月18日水曜日

成人で診断された喘息の1/3が
一過性, もしくは喘息ではない

カナダの10都市で施行された前向きStudy.
(JAMA. 2017;317(3):269-279. )
・ランダムに電話し, 過去5年以内に喘息と診断された成人症例を抽出.
 長期全身性ステロイド使用, 妊婦, 授乳婦, スパイロメトリー施行が困難な患者, Bronchial challenge testが禁忌の患者(大動脈, 脳動脈瘤, 3ヶ月以内のMI, Stroke既往), 10 pack-years以上の喫煙歴がある患者は除外.

上記を満たす患者群でスパイロメトリー, 刺激試験を行い, 診断アルゴリズムに沿って再度喘息を評価.

・4回の受診により喘息に対する投薬を順次中止し, フォロー.
・最終的に1年後に再度評価を行い, 喘息の診断について評価.
・経過中に発作を来した場合は再評価を行う.

対象となった1026例中, 701例で同意が得られ, 評価.
・701例中203例(33.1%[29.4-36.8])で現在の喘息は否定された.
・12ヶ月のフォローにて最終的に喘息ではないと判断された症例は181例(29.5%[25.9-33.1])

両者の比較:
年齢や性別, 喫煙歴などは関係なし.

・診断にスパイロを使用された患者は本物が多い.
・ER医や呼吸器医師に診断されたものは本物が多い


持続性の喘息, 真の喘息である可能性に影響する因子

・Airflow testが診断時にされている場合は, 持続性の喘息の可能性が高い
・喘鳴を繰り返している場合も同様.
・専門医に診断されても, 本物の可能性をあげる訳ではない

"Current Asthma"ではないと判断された213例における呼吸器専門医による評価結果

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・成人で診断された喘息の1/3が一過性, もしくは喘息ではない他の疾患であった可能性がある.
・特に診断時に呼吸機能検査をされていない場合は要注意.
・そのような患者では再評価を行うことで, 不要な投薬を減らせる可能性がある.

2017年1月14日土曜日

ANCA関連血管炎による中耳炎

(Mod Rheumatol, 2017; 27(1):87–94)
AAVでは中耳炎の合併も認められる.
・AAVに合併する中耳炎をOMAAV(otitis media with AAV)と呼ぶ.

OMAAVは以下の(A)-(C)を満たす場合に診断
(A) 抗生剤投与や耳管挿入でも改善しない浸出液, 肉芽組織を伴う難治性中耳炎で発症する
(B) 以下の1つ以上を認める
 (1) MPO-, PR3-ANCA陽性
 (2) 組織的にAAVを考慮する(小血管の壊死性血管炎±血管外の肉芽組織を伴う炎症像)
 (3) AAVに関連する耳以外の臓器障害を伴う
(C) 他の中耳炎疾患が除外(細菌性, コレステロール肉芽腫, Choleastoma, 悪性腫瘍, 結核, 好酸球性, 他の血管炎)

日本国内の耳鼻科123施設において, 10年間で報告されたOMAAV 235例の解析.
・抗体はMPO-ANCA陽性例が6割
・初期症状としては難聴が必発. 他にはめまいや頭痛もある.
・他の臓器障害では, 顔面神経麻痺, 肥厚性硬髄膜炎, 鼻, 肺, 腎臓など

陽性となる抗体別の評価
・MPO-ANCA陽性例は高齢発症で多い
・PR3-ANCA陽性例では鼻や肺障害の合併が多い
・抗体陰性例では肥厚性硬髄膜炎を伴う頻度が高い.

2017年1月13日金曜日

ダビガトランとシンバスタチンの併用には注意

(CMAJ 2017 January 9;189:E4-10.)

・Dabigatran etexilateは腸管より吸収される際, 腸管P-glycoproteinに拮抗される. また, carboxylesteraseによりdabigatranに代謝され, 作用する

・Simvastatin(リポバス®)とlovastatin(国内承認なし)はP-glycoprotein, carboxylesteraseを阻害作用を有しており, Dabigatranとの併用により作用を増強/減弱させる可能性がある.

Ontarioにおいて, 2012-2014年にDabigatranを開始された66歳以上の患者群を対象としたcase-control study.
・Ontario’s administrative health databaseでの解析
・上記患者でStroke, TIAを来した患者群をStudy 1, Major bleedingを来した患者群をStudy 2とし, 年齢, 性別を合わせたControl群と比較.

Caseにおけるスタチンの使用頻度

Simvastatin, lovastatinは他のスタチンと比較して,
・Stroke, TIAリスク因子にはならない(OR 1.04[0.72-1.51])が
Major bleedingリスクは有意に上昇(OR 1.46[1.17-1.82])結果であった.

高齢発症の関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症

リウマチ性多発筋痛症(PMR)と高齢発症の関節リウマチは症状が類似しており、しばしば鑑別が難しい。

PMR-like onsetの116名中, 19%がRA ACR criteriaを満たした.
 最初にPMRと診断されても, 12moのFollowにて20%がRAと診断. (ACR criteriaにて診断)
最終的にPMRと診断された65名, RAと判明した19名を比較すると, 体重減少, 近位筋萎縮, 末梢の滑膜炎で有意差あり
症状
PMR(65)
RA(19)
p
体重減少
38.5%
10.5%
0.02
近位筋委縮
1.5%
15.8%
0.03
末梢の滑膜炎
26.2%
78.9%
0.0001
RA陽性
12.3%
36.8%
0.03
 発熱, 朝のこわ張り, 頭痛は有意差無し
 LabではRFのみ有意差あるも, 臨床的に有用と言える感度、特異度ではない
 (Ann Rheum Dis 2001;60:1021-4)

両上肢の圧痛もSn 75% vs 13%(p<0.01) で有意差あり (Ann Rheum Dis 1991;50:619-22)

高齢発症のRA(EORA) 10例とPMR 27例でFDG−PET/CTを評価
 EORAでは発症年齢 74.2±10.0歳, 男性例が 8/10
 PMRは77.3±10.0歳, 男性例が 9/27

PET/CTの集積を比較: 
 坐骨結節, 棘突起の集積 → よりPMRで多い
 環軸関節, 手首, 肘関節の集積 → EORAで多い

集積パターンでは,

 肩関節の周囲に線状, 円状に集積がある場合 → EORA
 股関節の前方に集積がある場合 → PMRを示唆する

PET所見の感度、特異度 (EORAよりもPMRを示唆する所見)
所見
感度
特異度
LR+
LR-
坐骨結節の集積
96.3%
40.0%
1.61
0.09
棘突起の集積
81.5%
40.0%
1.36
0.46
手首の集積がない
59.3%
100%
0.41
孤発性の腸恥包の集積
59.3%
90%
5.93
0.45
肩関節の線状, 円状の集積がない
70.4%
90%
7.04
0.33

PMR 15例, EORA 7例においてPET-CTを施行した報告
(PLoS ONE 11(7): e0158509. )

PMRで有意に集積を認める9箇所: 
・肩甲上腕関節周囲, 
・恥骨筋付着部, 
・大腿直筋付着部付近, 
・股関節, 
・大転子側面, 
・坐骨結節,
・下位頚椎の棘突起, 
・腰椎椎間関節, 
・腰椎棘突起

上記を各1点としてスコアリングを作成すると,
EORA群は0[0-4], 
・PMR群は8[3-9].
≥5点は感度86.7%, 特異度 86.7%でPMRを示唆する結果.

画像の例



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アクセスや費用の面でそう簡単にPET/CTは評価できないですけども、
このような集積の違いを知っていると身体所見、圧痛部位、分布での注目するポイントが明確となります。
このようなデータを把握しつつ、所見を取る、これが臨床のセンスを磨くコツと思っています。

2017年1月12日木曜日

PMRとSmall vessel vasculitis

リウマチ性多発筋痛症(PMR)は高齢者をよく診療する総合診療科では比較的コモンな疾患と言える.

しかしながら、PMRと一言といっても, 高齢発症の関節リウマチ(EORA)や傍腫瘍症候群など他の疾患も同様の症状や経過で発症し得るため注意が必要である.

RAとの鑑別:
 http://hospitalist-gim.blogspot.jp/2015/10/pmrmri.html
 http://hospitalist-gim.blogspot.jp/2015/06/blog-post_60.html
某腫瘍症候群としての膠原病
 http://hospitalist-gim.blogspot.jp/2014/09/blog-post.html

そのなかで一つ押さえておきたのがSmall vessel vasculitis(SVV)

SVVによる糸球体腎炎の患者86名のRetrospective cohort.
・このなかの13%がPMRとして初期治療を受けていた.

PMR診断既往(+) vs (-)の比較

・PMRとして治療された群では, 腎不全, 透析, 死亡Riskいずれも低く,軽症のSVVの初期ではPMRと誤診される可能性が示唆される.



PMRとGCAとSVVはオーバーラップする

臨床的にGCS±PMRの診断を受けた490名でTA生検を施行した前向きコホート
(Arthritis and Rheumatism 2008;58:2565-73)
・生検でTA正常 + TA周囲の小血管への単核球浸潤 → SVVとしたとき, SVVは35名(7.14%)で認められた. 
 他にTA生検でGCAに典型的な症例が280例, TA生検陰性例は175例.

SVVはTAと比較して,
・炎症がやや低く, 消耗症状, 全身症状も軽い傾向.
・側頭動脈異常も少ない.
・PMR様症状はSVVで多い. 
・発症年齢は同じ.

SVVとTA生検陰性例の比較
・SVVでは発熱の頻度が低い. 他症状や所見に差はない

871例の患者より888件の側頭動脈生検を施行した報告.
(Arthritis and Rheumatism 2008;58:2565-73)
・上記の354例(39.9%)で炎症所見が得られた.
・生検所見を以下の4つに分類
  Small vessel vasculitis(SVV): 側頭動脈自体は保たれており, 外膜周囲の小血管の炎症所見が認められる.
  vasa vasorum vasculitis(VVV): 外膜の栄養血管のみの炎症所見
  inflammation limited to adventitia(ILA): 炎症が血管外〜外膜のみに波及し, 中膜は保たれている所見
  transmural inflammation(TMI): 炎症が外弾性板を経て中膜に波及している所見.
・354例中, SVVが9%, VVVが6.5%, ILAが7%, TMAが77.5%であった.

病理所見と臨床症状, 所見, 検査結果

・末梢の滑膜炎はSVVで合併頻度が多い.
・顎跛行や頭痛はTMIで有意に多い.
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PMRとSmall vessel vasculitisはしばしば鑑別が困難である.
・PMR様の症状だが, 腎障害, 蛋白尿, 血尿がある場合や, PMRとしては症状が非典型的な場合(ROM制限がないなど)は, SVVも考慮してANCAや補体などの評価も重要.
・PMRは滑膜炎がMainであり, 一般的にROM制限が強いはず.

GCA(側頭動脈炎)と臨床的に疑わしくても, 組織ではSVVである可能性もある.
・組織所見間で長期予後やステロイド調節, 腎機能予後がどうなるかはまだわからないが, PMRやGCAの中にはSVVが含まれている可能性には留意した方が良い
・ただし「組織上SVV」であることがどの程度予後に関連するか、ステロイド反応性に関わるか、というのはよくわからない. 組織上SVVならばPMRとすべきとしている論文もある. 

臨床的にPMRやGCAが疑わしい患者ではANCAの評価や尿所見の評価/フォローは大事.

2017年1月6日金曜日

糖尿病でも爪床毛細血管ループ(Nail-fold capillary)の異常を生じる

Nail-fold capillaryの評価は強皮症や皮膚筋炎の評価で重要な所見の一つだが, 糖尿病による微小血管障害でもNFCの異常が生じる可能性がある.

台湾からの報告. 2型糖尿病 115例, 前糖尿病 41例, 健常人 37例において, Nail-fold videocapillaroscopy(NVC)を評価.
(Medicine (2016) 95:52(e5714))
・活動性肝疾患, 妊娠, 活動性感染症, 脳血管疾患がある患者は除外.
・NVCは24度の室内で評価. 評価項目は以下のとおり. 
 異常所見からスコアを作成.
 ・毛細血管長(正常 200-500µm, 短縮, 延長)
 ・配列(秩序だった整列, カンマ様, 不整, 高度にバラバラ)
 ・形態(ヘアピン, ねじれ, 分岐, もじゃもじゃ)
 ・密度(10-30/mm2, 8-10/mm2, <8/mm2)
 ・太さ(正常, 拡大, 巨大ループ)
 ・出血(なし, 一部, びまん性)
 ・血流(正常, 速度低下, 間欠性の血流)



アウトカム
・DM, 前糖尿病患者では有意にNFCの異常所見が認められる.
・血糖コントロール間(HbA1c 7%未満, 以上)の比較では, 所見の頻度に大きな差はないが, スコアは7%以上の群で高い.

微小血管障害の有無で比較すると, 障害(+)群では毛細血管長の短縮が有意に多い結果.
・NVCスコアはDM神経症スコア, 微小血管障害数に低い相関性が認められる.

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興味深い報告.
DM性の微小血管障害としてNFCの異常が生じる可能性がある.
微小血管障害, 神経症との相関性はあるが, 関連性は低く, 日常診療でフォローする必要がある所見とまでは言い難い.

強皮症や膠原病患者でNFC所見評価する際に、背景にDMがあるかどうかは念頭に置く必要がある