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2017年3月24日金曜日

脳梗塞後のホルターECGはしつこく, 何回も行う

脳梗塞には潜在性のAFによるものが15%前後含まれている
参考 http://hospitalist-gim.blogspot.jp/2014/06/blog-post_26.html

入院中のモニタリングや1回程度のホルターECGでは検出できないことも多く, 可能ならばループレコーダーなども考慮する必要がある.

脳梗塞後のホルターECGの施行方法, 回数で比較したRCTが発表されたので紹介.

Find-AF study: 60歳以上の新規発症の脳梗塞で, 来院時洞調律で, 同側頸動脈の狭窄(-)群を以下の2群に割り付け, 発症後6ヶ月以内のAF診断率を比較したRCT
(Lancet Neurol 2017; 16: 282–90 )
・Prolonged monitoring群: 初期と3ヶ月後, 6ヶ月後にHolter ECGを10日間行う群
・Standard care群: Holter ECGもしくはモニターで24時間以上評価する群.

対象は60歳以上で, 脳梗塞発症7日以内で, 初期の心電図が洞調律でAF既往もない患者群を対象. 脳梗塞の原因は問わないが, 同側の頸動脈狭窄(>50%)がある患者は除外される.

母集団

アウトカム
・Standard care群ではモニターを73h[54-84]施行され, その後Holter ECGを施行されたのが149/198, Holterの時間は24h[22-25]

・6ヶ月以内のAF診断率は,
 Prolonged monitoring群で13.5%
 Standard care群で4.5%,
 AD 9.0%[3.5-14.6]と有意に検出増加.
・12ヶ月以内の脳梗塞再発リスクは両者で有意差は無し.

Prolonged monitoringでは, 特に最初の2回のHolterで検出率が高い.

2017年3月23日木曜日

鉄欠乏と片頭痛

鉄欠乏は貧血のみならず, 倦怠感の原因や, 失神の原因となり得る
それ以外にも集中力の低下や抑うつ症状に関連する可能性がある

参考:

鉄欠乏は失神のリスクとなる


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片頭痛様の頭痛がある中年女性.
検査にて鉄欠乏性貧血を認め, 鉄剤を補充したところ, 鉄欠乏性貧血の改善とともに, 今まで困っていた頭痛, 頭重感が無くなりました. という症例を経験しました.

鉄欠乏は頭痛にも関連するのだろうか?

片頭痛患者, 緊張性頭痛患者 各170例と, 性別, 年齢を合わせた他の症状で神経内科を受診した患者群(Control)において, 鉄欠乏の頻度を比較.
(Pain Medicine 2016; 17: 596–605)
・片頭痛は月経関連と非月経関連に分けても比較した.


・片頭痛患者では有意にIDA合併率が高く, 月経に関連した片頭痛では特に関連性が高い可能性
・他には片頭痛家族歴が関連している


IDA患者127例において, 頭痛の病歴を聴取した報告
(Wien Klin Wochenschr. 2016 Dec;128(Suppl 8):576-580.)
・79.5%に生涯に1度以上の頭痛を自覚し, 36.2%が片頭痛の基準を満たした.

IDA+片頭痛症例では, 喫煙歴(+), Hb低値, MCV低値, 鉄結合能の上昇が多い
・片頭痛合併はQOL低下, 鬱症状, 不安症状に関連

5-15歳の片頭痛で予防投与を考慮した患者群98例中, 鉄欠乏は31例(31.6%)で認められた
(Iran J Ped Hematol Oncol. 2016;6(1):32-7.)
・鉄欠乏の有無での比較

年齢や前兆, 家族歴は両者で有意差なし
・頭痛の頻度, 重症度, pedMIDASは有意に鉄欠乏合併例で強い.

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片頭痛患者では鉄欠乏の合併率が高いことは言えそうである.
鉄欠乏を合併した片頭痛は非合併例よりも頭痛が強い傾向がある
残念なのはそのような患者で鉄剤補充が頭痛に及ぼす影響を評価した報告はまだない.

自験例からも, 閉経前女性の片頭痛, 特に月経関連の片頭痛や, 元々ある片頭痛が増悪した場合では鉄欠乏の評価と鉄剤の補充を試すのも一つの方法かもしれない.

2017年3月22日水曜日

術後患者の低酸素血症ではIntensive recruitmentをした方が良い

(Effect of Intensive vs Moderate Alveolar Recruitment Strategies Added to Lung-Protective Ventilation on Postoperative Pulmonary Complications. A Randomized Clinical Trial. JAMA) より

ブラジルにおける単一施設でのRCT.
・待機的心臓血管手術(CABGや弁置換)後にICUで低酸素血症(P/F<250, PEEP ≥5)となった患者群を対象
・<18歳や>80歳, 慢性肺疾患の既往, 心臓外科手術の既往, 神経筋疾患, 平均肺動脈圧>35mmHg, LVEF<35%, BMI<20,>40, 緊急手術例, ノルアドレナリン>2µg/kg/min使用例, 治療抵抗性の低血圧, 不整脈がある場合, 気胸合併例は除外.

これら患者群をICUにおいて, 以下の呼吸器設定で管理
・VTは6mL/kg(予想体重), FiO2 0.6, PEEP 5cmH2Oとし, 
 その後Intensive strategy群 vs Moderate strategy群に割り付けた

共通: リクルートメントの方法は以下のとおり
 ①Low-flow pressure-volume curveを評価
 ②PEEP 5から, 2cmH2O/秒の速度で, 30cmH2Oまで上げて維持.
  維持時間はそれぞれの群を参照
  その後同じ速度で徐々に戻してゆく
 ③リクルート開始4時間後に再度Pressure-vol curveを測定. 測定は初期の設定を5分間継続後に行う.

・リクルートメントは血行動態が安定した患者で施行

各群の方法:
Intensive strategy群: リクルートメントで②を60秒間維持する.
・これを60秒開けて3回繰り返す.
・リクルートメント維持時の呼吸器設定: PEEP 30, PCでPS 15, RR 15, 吸気時間1.5秒, FiO2 0.4
・インターバルでの設定: PEEP 13, VT 6mL/kg, FiO2 0.6となるようにVC, PCを設定, 吸気時間1秒, 呼吸数はCO2 35-45に維持するように設定.

Moderate strategy群: リクルートメントで②を30秒間維持する.
・これを60秒開けて3回繰り返す.
・リクルートメント維持時の呼吸器設定はCPAPモードで20cmH2O, FiO2 0.6
・インターバルでの設定: PEEP 8, VT 6mL/kg, FiO2 0.6ととなるようにVC, PCを設定, 吸気時間1秒, 呼吸数はCO2 35-45に維持するように設定.

リクルートメント施行 4時間後に再度リクルートメントを施行し, また各施設の方法でWeaningも進める
・WeaningはPSを5cmH2Oとなるまで低下させる方法.
 PEEPは動かさず, 各群で抜管まで固定する.
・抜管後以下を満たす場合はNIVでCPAP 10cmH2O以上, PS 5-10cmH2Oを使用する
  酸素投与下でSpO2 ≤90%
  5L/分以上の酸素投与が必要
  呼吸数が30回以上

母集団データ

アウトカム

・Intensive strategyにおいて, 肺合併症の重症度は有意に低下.
 ICU滞在期間や入院期間も有意に短縮される.
・院内死亡やBarotraumaは有意差なし.
・他に, 酸素投与の必要性, 挿管期間, 抜管後のNIV使用率も有意に低下する結果.
・肺炎や創部感染症, 出血などは有意差認めず.

リクルートメント前後のPressure-volカーブ
・Intensive strategy群では有意な肺コンプライアンス改善が認められている.
・低酸素リスクも少ない.

ダビガトランは骨折リスク軽減効果があるかも

動物実験では, Dabigatran使用群では骨量の増加, 骨ターンオーバー遅延が報告されている.

香港におけるRetrospective cohortにおいて, NVAF患者で新規にDabigatran開始された群とWarfarin開始群において, 骨粗鬆症による骨折リスクを比較
(JAMA. 2017;317(11):1151-1158. )
・新規にNVAFを診断された51496例において, Dabigatran開始群とWarfarin開始群でPropensity score-matched analysisを施行

母集団データ:

アウトカム
Dabigatranでは有意な骨折リスク低下効果がある
 NNTは147程度.
・特に転倒既往がある患者ではリスク軽減効果も高い.
・転倒既往がない場合は有意差なし.

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後ろ向き解析のPropensity score matched analysisであり, 今後の追試, RCTの再解析の結果を待ちたいところ.
NNT 150程度であり, この効果を期待してダビガトランを選ぶことはあまりないかもしれないが, 転倒が多い患者では考慮してもよいかもしれない.

2017年3月17日金曜日

原因がよくわからないCOPDの急性増悪は肺血栓塞栓症かも

(CHEST 2017; 151(3):544-554 )より

誘因, 原因が判然としないCOPD急性増悪症例において, 肺血栓塞栓症が占める割合を評価したMeta-analysis.

これによると,
明らかな誘因のないCOPD急性増悪の16.1%[8.3-25.8]に肺塞栓症が認められる
・COPD急性増悪は呼吸苦の増悪でER受診や入院が必要となる患者群を対象.
・Studyによりばらつきはあり, 3-29%

DVTの合併頻度

DVTの合併頻度は10%[4-19]とPEと同数か、やや少ない

血栓部位

・血栓塞栓部位は主肺動脈が1/3を占める

原因不明の急性増悪ではPEも念頭のおき, DVTの評価も考慮した方が良いかも

VTE患者で後から悪性腫瘍が診断されるリスク因子は?

RIETE registryにおいて, 2001年から2014年にVTEを発症した患者群の解析
(CHEST 2017; 151(3):564-571)
・52289例の症候性VTEうち, 悪性腫瘍既往は9114例.
 VTE発症から30日以内に悪性腫瘍が認められたのが1845例(3.5%) → ほぼ同時に診断

 残りの41339例のうち, 24ヶ月フォローされたのが5863例.
 VTE発症後30日〜24ヶ月に診断された悪性腫瘍は444例(全体の1.4%, フォローされた患者群の7.6%[6.9-8.3]) → VTE診断の後で発見, 出現した悪性腫瘍: Occult cancer群と定義

24ヶ月フォローできたOccult cancer(-)群と(+)群を比較し, リスク因子を抽出. スコア化.

Occult cancerのリスク因子とスコア化

・男性例, >70歳, 慢性肺疾患, 貧血, 血小板≥35万
・リスクを減少させるのはVTEの既往, 術後のVTE.

年齢, 性別とスコアからのOccult cancerリスク
・%としてはかなり高いが, フォローされた患者群での解析であり, 実際の頻度よりも高くでていると考えられる.

診断された悪性腫瘍の部位

%を鵜呑みにしてはいけませんが,
リスク因子としては覚えておくと良いかもしれません.

2017年3月16日木曜日

VA-ECMOを用いた心肺蘇生

近年VA-ECMOを用いたCPR(ECPR)の報告, 施行件数が増加してきている.

札幌医大において2000-2004年に目撃されたCPAにて搬送され, 20分以上の蘇生が行われた162例のProspective cohort.
(Crit Care Med 2013; 41:1186–1196)
・53例がExtracorporeal cardiopulmonary resuscitationを施行され, 109例が通常のCPRを施行された.
・アウトカムは神経学的機能良好(CPC score 1-2)
 Propensity matching method で両群を比較. (N=48)

CPC 1-2はECMO群で29.2%, Control群で8.3%で達成.
・p=0.018と有意差を認め, ECMOを使用したCPRで予後が良好.

カナダの単一施設における後ろ向き解析
(Resuscitation 85 (2014) 1713–1719 )
・院内CPA症例32例で, VA-ECMOを使用した蘇生を施行.
・22例は蘇生開始後15分経過しても反応乏しく, ECMOを使用.
・10例は蘇生後心原性ショックが遷延し, ECMOを使用した症例.
・原因はACS, 心筋炎, 不整脈など. 心疾患が多い.

30日後の生存+神経予後良好は約半数で達成.


韓国における前向きCohort.
(Clin Exp Emerg Med 2016;3(3):132-138 )
・院外非外傷性CPAで, 事前に構築したECMO-CPRクラテリアを満たす患者において, E-CPRを行い, 予後を評価.
・E-CPRクライテリアは以下を満たす患者で定義:
 75歳以下, 
 目撃された心停止, 
 心停止〜CPR開始まで5分以下,
 CPR開始後〜30分以内, 
 ER到着後10分経過してもROSC無し.
・除外項目: DNAR, performance statusが悪い, 終末期, 外傷性, 頭蓋内出血, 急性大動脈解離, 心嚢液あり

・568例の院外CPA症例のうち, 上記を満たしたのが60例(10.6%)
 このうち10例でE-CPRを行なった.

患者群のデータとアウトカム

・神経予後良好はCPC1-2で定義
・1ヶ月後の生存率は有意差はないが, 神経予後良好は有意にE-CPR群で良好な結果.

ECPRのMeta-analysis
(Resuscitation. 2016 Jun;103:106-16.)
ECPRは予後改善が見込める.

サブ解析
・目撃の有無, 初期波形, 心原性のCPAかどうかでECPRによる予後改善効果は変わらない.
・10-20分以上の蘇生を施行している患者群ではよりECPRによる予後改善効果が期待できる

ECPRは蘇生において蘇生効果や生命予後, 神経予後を改善させる可能性が高い.
問題は, どの患者で適応すべきかということ

CPR開始後〜蘇生までの時間はどのくらいか?

院内CPAにおける, ROSC+, ROSC-群のCPR時間
(J Am Heart Assoc. 2014 Dec;3(6):e001044)
上 ROSC(-)群、下 ROSC群
・最初の10分で半数
 20分で75%がROSC

院外CPAにおけるCPR時間と予後(1014例の成人患者)
(Circulation. 2013;128:2488-2494.)

・蘇生時間が10分を超えると, 神経予後良好のROSC(mRS 0-3)はわずか2%程度のみ

これらのデータより, 蘇生開始〜15分経過してもROSCしない場合で, かつ治療可能な原因がある場合(ありそうな場合)にECPRを考慮する.
・ECPRは蘇生開始後30分以内, 長くても60分以内に開始することを目標
・超高齢者, DNAR, 基礎疾患で蘇生が困難, 復帰が困難と考えられる場合は基本的に対象とはならない
・他に, 高度な低体温(<20度)を合併した心停止では, 
 心停止→低体温ではなく,
 低体温→心停止といった状況ではECPRは良い適応となる可能性がある
(Ann Card Anaesth 2017;20:S4-10.)


現実的には,
 院内CPA, 目撃例のある院外CPAで,
 バイスタンダーCPRがあり,
 治療可能な原因がある/可能性があり,
 10-15分の蘇生でROSCしない症例で ECPRを考慮し, 手配/準備開始.

 CPA発症から30-60分以内に開始できるように動く/準備する という感じ.

カナダのバンクーバーからの前向きコホート(CJEM 2016;18(6):453-460)では,
 上記の対象になるような院外CPA症例は全体の3%程度との報告もあり, そこまで件数はないものの, 対象症例には施行できるような環境, 各施設でのプロトコール作りも考えてゆかねばならない.