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2014年5月3日土曜日

リンパ節腫大②: 検査

リンパ節腫大②: 検査 (① 原因)
正常リンパ節のエコー画像
 Low-echoicで扁平型
 中心に脂肪が入り込んでいる
 Sizeは大体長径 <1cm (J Nucl Med 2004;45:1509-18)
 通常, 短径/長径 < 0.5 
 耳下, 顎下では円形に近く, 正常でも>=0.5となる (AJR 2005;184:1691-9)
Site
長径
短径
腋窩
NA
10mm
胸腔内
NA
5mm
骨盤内
10mm
NA
縦隔
10mm
NA
頸静脈二腹筋リンパ節
11mm
NA
非咽頭後部リンパ節
10mm
NA
咽頭後部外側
5mm
NA
鼠径
10mm
NA


エコーによる良悪性の評価
(Iran J Med Sci Supplement March 2014; Vol 39 No 2: 158-170)
悪性疾患によるリンパ節腫大では, より円形, L/s <2となり, Resistance index, Pulsatility indexが高値となる.

リンパ節転移に対するエコー所見 (Cancer Imaging (2008) 8, 48-56)
大きさ: 大きければ転移病変の可能性は高まるが, 反応性リンパ節腫大でも大きくなるため, 大きさのみで判断は困難.
 担癌患者で徐々に大きくなるリンパ節腫大は転移性病変を示唆. また, 徐々に縮小する場合は治療効果のフォローとして使用できる.
: 転移病変はより円形に近づき, 短/長径(S/L) >0.5となる. 
辺縁: 転移病変の辺縁はSharp. 良性のリンパ節腫大では辺縁が不整のことが多い. 転移でも腫瘍が拡大すると辺縁が不整となり得る.また, リンパ節内の腫瘍病変により, 節内と周囲のエコーに差が生じる.
Echogenicity: 転移病変は周囲の筋組織と比較してHypoechoicとなる. ただし, 甲状腺のPapillary carcinomaの転移ではHyperechoicとなる. (分泌されるサイログロブリンの影響と考えられている.)
Echogenic hilus(リンパ門)正常リンパ節では周囲脂肪織と連続して,リンパ節内へ伸びる直線状の構造を認める. 正常頸部では>5mmを超えるリンパ節の90%でこの構造が認められる.(High resolution USにて)
節内壊死: 嚢胞状, echogenicに検出される.
石灰化: 甲状腺のpapillary carcinomaの転移で石灰化を認める
血管分布: power Doppler USにて, 頸部で5mmを超える正常リンパ節では, 90%でリンパ門からの血流が件検出可能. 
 正常リンパ節, 反応性腫大では, そのような血流を認めるか, 血流を認めないことが多いが, 転移性病変では末梢の血流を認めたり, リンパ門の血流+末梢の血流の混在であったりする
血管抵抗: Resistive index(RI), Pulsatility index(PI)で評価
 RI >0.6~0.8で感度47-81% 特異度81-100%
 PI >1.1~1.6で感度55-94% 特異度97-100%で転移か反応性かの判別可能.
 RI >0.7で感度86%, 特異度80%
 PI >1.4で感度70%, 特異度86%.

リンパ腫病変に対するエコー所見
大きさ: リンパ腫によるリンパ節腫大では, 短径が>1cmとなることが多いがそれだけで鑑別可能ではない.
形, 辺縁, Echogenicity, リンパ門: 形はより円形に近づき, 辺縁は明瞭となる.
 Hypoechoicでリンパ門は認めない. 
 転移病変と類似しており, この情報で2つは鑑別はできない.
Intranodal reticulation: 偽性嚢胞やリンパ節後部のAcoustic enhancementはリンパ腫に特徴的なエコー所見.
節内壊死, 石灰化: リンパ腫による腫大ではCystic necrosisは少ない. 放射線療法や化学療法後では認められる. 石灰化も少ないが, これも治療後に認められることがある.
血管分布: リンパ腫ではリンパ門と辺縁の血流双方が認められる(62-90%). 転移病変と異なり, 末梢血流のみのパターンは稀(5%).
血管抵抗: 転移性腫脹と同じく, 血管抵抗は鑑別に有用. RIは0.64-0.84, PIは1.2-2.2となる.

105例の患者で117カ所の頸部リンパ節腫大をUSで評価 (AJR 1997;168:1311-1316)
 反応性リンパ節腫大 28, TB 17例, リンパ腫 14例, 転移 46例.
US所見
反応性
TB
リンパ腫
転移
長径/横径(L/T) <1.5
12%
24%
64%
60%
1.5 ≤ L/T <2
14%
41%
21%
25%
L/T ≥2
74%
35%
14%
15%
リンパ節門: 中心部
56%
0
14%
4%
リンパ節門: 変形
24%
35%
36%
15%
リンパ節門: 消失
21%
65%
50%
81%
リンパ節門血流: 中心
97%
0
14%
4%
リンパ節門血流: 偏心
3%
29%
43%
13%
リンパ節門血流: 消失
0
71%
43%
83%
中心血管: 放射状
97%
0
7%
4%
中心血管: 偏心放射状
3%
24%
36%
13%
中心血管: 異常な多極性
3%
71%
64%
81%
中心血管: 消失
0
24%
0
6%
末梢の血流
6%
82%
71%
90%
血流パターン: 中心性
94%
0
29%
10%
血流パターン: 混在性
6%
76%
71%
85%
血流パターン: 辺縁性
0
24%
0
6%
USにおける血管抵抗の値

反応性
TB
リンパ腫
転移
Resistive index
0.57(0.10)
0.64(0.09)
0.70(0.15)
0.83(0.15)
Pulsatility index
0.85(0.22)
1.03(0.24)
1.20(0.42)
1.62(0.52)
Peak systolic velocity
30.77(13.35)
20.44(8.24)
20.07(9.96)
22.65(14.0)

43例で141部位の頸部リンパ節腫大をUSで評価. (Radiology 2007;243:258-267)
 上記のうち60カ所が腫瘍の転移であった.
 US所見の転移に対する感度, 特異度を評価
所見
Sn
Sp
短径 >8mm
47%[34-59]
79%[70-88]
S/L >0.5
75%[64-86]
81%[73-90]
リンパ節門の消失
72%[60-83]
54%[44-65]
異常なエコー
58%[46-71]
91%[85-97]
石灰化
3%[-1~8]
100%[100-100]
末梢の血流(+)
47%[34-59]
99%[96-101]
Sonoelastography


 LNが部分的, 明瞭に見える
65%[55-79]
93%[87-98]
 LNが周囲筋よりHypo
63%[51-76]
95%[90-99]
 LNの辺縁が整~中等度不整
35%[23-47]
95%[90-100]
 辺縁境界の>50%が確認できる
48%[36-61]
73%[63-83]
 Strain index>1.5
85%[76-94]
98%[94-101]
CTによる良悪性の評価
順天堂大学のStudy (Medicine 2011;90: 396-403)
 222名のリンパ節腫脹(+)患者(161名が悪性)でCTを評価し, スコア作成, 117名の患者群(82名が悪性)でDelivationを施行.

Score = -2.3 + X1 + 2.8X2 + 1.3X3 + 1.6X4 - 2.2X5 + 1.8X6 
Scoreが高値ほど悪性のリンパ節腫脹を示唆する.
Factor
判断
定数
RR
X1; 年齢
<45y0, ≥45y1
1.0
2.6[1.0-6.8]
X2; 腹腔内リンパ節腫脹
あれば 1, 無ければ 0
2.8
16.6[1.85-148.9]
X3; 他の部位のリンパ節腫脹
あれば 1, 無ければ 0
1.3
3.65[1.1-12.1]
X4; 腫脹リンパ節の領域数
限局性~1領域; 0, 2領域以上; 1
1.6
4.96[1.48-16.7]
X5; 発熱無し
<38.0
-2.2
0.11[0.03-0.42]
X6: LNの最大径
<2.5cm0, 2.5-4.99cm1,
5.00-7.49cm
2, >7.5cm3
1.8
6.26[3.17-12.3]
各Cutoffの悪性リンパ節腫大に対する感度, 特異度

腹腔内リンパ節腫大: リンパ腫 vs 結核性のCT画像の比較
(AJR 1999;172:619-623)
腹腔内リンパ節腫脹の69例で造影CT画像を評価
 26例が結核性, 43例が未治療のリンパ腫.
 リンパ節の分布の比較
部位
粟粒TB(5)
非粟粒TB
(21)
HD(16)
NHL(27)
DTB
 vs HD
DTB
 vs NHL
NDTB
 vs HD
NDTB
 vs NHL
小網(胃と肝臓の腹膜)
100%
43%
44%
56%
<0.05
NS
NS
NS
大網(胃と十二指腸)
20%
10%
0
7%
NS
NS
NS
NS
腸間膜
80%
52%
6%
30%
<0.01
NS
<0.01
NS
前腎傍腔
100%
57%
50%
70%
NS
NS
NS
NS
上部大動脈周囲
100%
62%
94%
93%
NS
NS
<0.05
<0.05
下部大動脈周囲
100%
5%
94%
89%
NS
NS
<0.01
<0.01
粟粒TBやリンパ腫ではより下部大動脈周囲野リンパ節腫大が多い.
粟粒TBとNHLの分布は差がない.

TBとリンパ腫の腹腔内リンパ節腫大: 造影CT画像
造影パターン
粟粒TB(5)
非粟粒TB (21)
HD(16)
NHL(27)
DTB
 vs HD
DTB
 vs NHL
NDTB
 vs HD
NDTB
 vs NHL
均一の造影
0
5%
87.5%
70%
<0.01
<0.01
<0.01
<0.01
周囲の造影
80%
90%
0
4%
<0.01
<0.01
<0.01
<0.01
均一 + 周囲造影
20%
5%
12.5%
26%
NS
NS
NS
NS
多房性の造影
80%
62%
6%
11%
<0.01
<0.01
<0.01
<0.01
リンパ腫では均一の造影パターンが多いが, 結核性リンパ節腫大では辺縁が造影されるパターン, 多房性の造影が多い.

生検を考慮すべき患者とは?
≥14yの末梢リンパ節腫大で受診した584例 (Medicine 2000;79:338-347)
 以前に生検を施行された患者, HIVの患者, 血液腫瘍が他検査より強く考慮される場合は除外
 上記の内475例で検査を施行. 
 1990-1994年に受診した315例のうち, 生検が治療方針や診断に寄与したのが83例, 寄与しなかった(と考えられる)のが232例.
 この2群で生検が診断に寄与する因子を評価し, スコア化(Derivation).
 1994-1995年に受診した160例でValidationを施行

"リンパ節生検が診断に必要であった” というアウトカムに関連する因子を抽出し, スコアを作成
Z score(改)論文のZ scoreは下記表の数値 - 6で計算
因子

1) 年齢>40
5
2) 圧痛有り
-5
3) 最も大きいリンパ節の大きさ

 <1.0cm2 (1cm x 1cm)
0
 1.0-3.99cm
4
 4.0-8.99cm2 (2cm x 2cm ~)
8
 ≥9.0cm2 (3cm x 3cm)
12
4) 全身掻痒感
4
5) 鎖骨上リンパ節腫大
3
6) 硬さ: Hard
2


Derivation

Validation

Total

Z score()
感度
特異度
感度
特異度
感度
特異度
4
100%
52.6%
96.9%
67.2%
99.1%
57.8%
5
98.8%
54.7%
96.9%
69.5%
98.3%
60.0%
6
96.4%
78.0%
96.9%
85.2%
96.5%
80.6%
7
95.2%
81.0%
96.9%
91.4%
95.7%
84.7%
8
91.6%
84.1%
96.9%
93.0%
93.0%
87.2%
9
88.0%
86.6%
90.6%
93.0%
88.7%
88.9%
Score ≥7は生検が推奨される.

このZ scoreを沖縄中部病院の症例でValidation (Medicine 2003;82:414–418)
母集団:
Z score(改)の感度, 特異度 (アウトカム: 生検が診断に必要なリンパ節腫大)
Z score()
感度
特異度
4
97.4%
27.7%
5
97.4%
50.0%
6
97.4%
55.4%
7
97.4%
56.3%
8
92.3%
62.5%
9
92.3%
69.6%
10
76.9%
83.0%
11
74.4%
88.4%
12
61.5%
90.2%
13
48.7%
93.8%
これでは特異度が80%を超えるのが10-11pt.
それを超える例では生検がより推奨されると考えられる.