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2014年8月18日月曜日

脊髄梗塞 Spinal cord ischemia

脊髄梗塞 Spinal cord ischemia
J Clin Neurol 2012;8:218-223
Neurol Clin 31 (2013) 153–181

急性の横断性脊髄障害を来す疾患.
 脊髄梗塞は全梗塞疾患の1%未満, 急性の脊髄障害の5-8%を占める.
 急性経過の運動障害, 感覚障害, 膀胱直腸障害を来す.

全年齢で発症するが, 60-70歳台が最多.
 症状は突然発症の感覚障害, 排尿障害.
 運動障害は徐々に進行し, 12時間でNadirとなる事が多い.

最も多いのは前脊髄動脈
障害血管により範囲, 症状は異なり,

 Anterior spinal artery syndrome,  
 Posterior spinal artery syndrome, 
 Central infarction 
 Transverse infarction などのタイプがある

 前脊髄動脈では, 両側の運動麻痺, 感覚障害, 自律神経系の括約筋障害を来すことになる.
 前角が障害されるので 麻痺は弛緩性で, DTRは減弱する.

 部位は胸髄が最多(>60%)だが, 中部頸髄も多い.

Brown-Sequard syndrome; 左右半分の脊髄の障害
 同側の障害部位以下の弛緩性麻痺と, 反対側の脊髄視床路の感覚障害で定義. 後索の間隔は保持される.
 Sulcocommissural arteryの閉塞によるもの.

脊髄血管の解剖:



脊髄梗塞の原因;
 有名なのは大動脈解離, 大動脈の手術治療, カテーテルに伴うもの.
 他は動脈硬化, 脊髄変性疾患, 椎骨動脈解離, 全身の低循環状態に伴うもの, 潜水病, 凝固障害, 外傷, コカイン中毒.
 特発性(原因不明)が28-74%ある.
 稀な物として, 腰椎硬膜外麻酔, 胸部外科手術, IABP, 卵円孔開存症, 抗リン脂質抗体症候群など.

脊髄梗塞の診断 画像検査と臨床経過で診断.
 極早期にはMRI所見が陰性の場合もあり, 臨床経過で疑わしければ診断し, 後日画像フォローを考慮する.
 脳梗塞と同じく, DWIならば早期に所見が出現する可能性があるが, T2でHighとなるのは数時間後.
 ガドリニウム造影で取り込み増強するのはBBB破綻が生じる3日後.

5例の画像所見の変化
 この5例では発症早期にDWIは撮影していないが, 早期の検出にはDWIが有用な可能性がある.
 ただし, MyelitisやMSでもDWIでHighとなる例が報告されており, それらとの鑑別が可能という訳でもない.
北海道脳神経疾患研究所医誌 2008;12:65-68

脊髄梗塞にはDWIとADCが有効かもしれない Neuroradiology (2006) 48:795801
脊髄梗塞6例の画像所見
 平均年齢 52歳[14-67], 特発性が3例.
 DWIで高信号, ADCは全例で低下を示す.
 Literature reviewでも同様に, 急性期ではADC低下を認める例が大半.
 フォローではADC低下は消失している.

脊髄梗塞を疑った場合のアルゴリズム
Neurol Clin 31 (2013) 153–181

脊髄に生じる血管疾患の鑑別



脊髄梗塞の治療
 治療は原疾患の治療, 抗血小板薬, 抗凝固薬等, 原因に応じた治療が主となる.
 決まった治療は無い. 神経浮腫に対してステロイドが試されることもある.

脊髄梗塞の予後
 神経学的予後は不良で, 半数が軽度の改善を示すが, 半数が改善を認めない.
 3年間のフォローでは生存者の58%が歩行可能となった報告もある (介助の有無に関わらず)
 しかしながら41%が車いす生活で, 33%が間欠導尿を必要とした.