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2015年7月1日水曜日

COPDに対するICSの適応は好酸球数で決めろ!

COPDに対する治療はLAMAが基本。
 LAMAに追加する形でLABAやICSを考慮する。

COPDに対する吸入ステロイドの効果を評価したMeta-analysisでは
(Chest. 2010 Feb;137(2):318-25.)
 11 RCTs(n=8164), ステロイドとLABAの併用療法は除外
 軽度~中等度のCOPD(FEV1>50%), 重度のCOPD(FEV1=<50%)の2群でICSによる急性増悪予防効果を評価.
Outcome;
 吸入ステロイドにより急性増悪Riskは18%軽減(RR 0.82[0.73-0.92])
 FEV1>50%群では, 急性増悪予防効果は認められないが, FEV1=<50%群では予防効果を認める結果であった
 FEV1>50%群 RR 1.026[0.859-1.226]
 FEV1≤50%群 RR 0.824[0.775-0.876]

また、ICSは肺炎リスクも上昇させるため、基本的にFEV1≤50%の群で使用を考慮する
Outcome
RR
肺炎
1.60[1.33-1.92]
重症肺炎
1.71[1.46-1.99]
 vs Placebo
1.81[1.44-22.9]
 vs LABA
1.68[1.20-2.34]
肺炎関連死亡
1.27[0.80-2.03]
全死亡
0.96[0.86-1.08]

(Arch Intern Med. 2009;169(3):219-229)

ただし、COPDと喘息の合併例(ACOS: Asthma-COPD overlap syndrome)という病態があり、その場合はICSは早期に導入すべき薬剤. 
 ACOSにおけるICSは第一選択となる
(Clin Chest Med 35 (2014) 143–156)(J Am Board Fam Med 2013;26:470 – 477.)

その関連でCOPDにおける血中Eo値がICSの急性増悪予防効果に関連する可能性があり、
中等症〜重症COPDで過去1年で1回以上の急性増悪発作をきたした患者群を対象とし, vilanterol群 vs vilanterol+Fluticasone群を比較したDB−RCTのPost−hoc解析を行った.
(Lancet Respir Med 2015; 3: 435–42)
 基礎値のEo <2%, ≥2%で分け, それぞれの群でICSによる急性増悪予防効果を評価した.
結果急性増悪頻度は,
 Eo≥2%群で 0.91 vs 1.28/年, ICS使用により29%低下
 Eo<2%群では0.79 vs 0.89/年, 有意差なし.
 Eo値別の評価では, Eoが高いほどICSによる急性増悪予防効果も良好.
Eoの高いCOPDはICSを早期導入!してもよいかもしれない。