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2017年8月9日水曜日

薬剤性の膠原病

いくつかの薬剤により血管炎やLupus, 筋炎を発症することが知られている.

薬剤性の自己免疫性疾患のCase reviewでは2009-20102年間の検索で56例が報告.
(Curr Opin Rheumatol 2012, 24:182 – 186)
・27(48.2%)が血管炎, 8(14.3%)Lupus, 13(23.2%)が筋炎2(3.6%)が強皮症.

薬剤性Lupus 11例の原因薬剤は
・最も多いのがINF3.
・次いで化学療法(Doxorubicin, cyclophosphamide, fluorouracil)
他はフェニトイン, セフェピム, チクロピジンで報告あり.

薬剤性血管炎 16例の原因薬剤は,
TNF阻害薬, Propylthiouracil, levamisole含有コカイン等が原因となる
 TNF阻害薬では, Infliximab6, Etenarcept2, Golumimab 1.
抗甲状腺薬はPTU ± Methimazoleでの報告が大半.
他の薬剤として, 化学療法, 抗生剤, スタチン, GRH agonist,  インフルエンザワクチンの報告がある.

薬剤性筋炎 13例の原因薬剤
最も多いのは抗TNF阻害薬とスタチン
 スタチンは限局性の筋炎が有名だが免疫に由来する壊死性筋炎を生じることがある.

薬剤性強皮症 2例の原因薬剤
・パクリタキセルと抗TNF阻害薬で報告あり.

薬剤性関節炎, 関節痛の原因薬剤
(Rheumatol Int (2016) 36:1089–1097)
抗菌薬ではテトラサイクリン, キノロン, 抗結核薬, ボリコナゾール
 他, DPP-4阻害薬, アロマターゼ阻害薬など. ワクチンも原因となる

それ以外の薬剤性 膠原病
抗てんかん薬によるシェーグレン症候群の報告

膠原病の原因となり得る薬剤は主に4種類TNF阻害薬, 化学療法, PTU, INFが特に多い.
(Curr Opin Rheumatol 2012, 24:182 – 186)
・抗TNF阻害薬や化学療法はどのタイプも来し得る.
・PTUは血管炎が主. 特にANCA関連血管炎の原因となる.
・INFSLEや筋炎の原因となり得る.

他, 薬剤性膠原病で多い原因
(Semin Arthritis Rheum 38:249-264)
よく使用する薬剤として,
 キノロンで腱炎, 関節症,
 ミノサイクリンでSLE like
 またアロマターゼ阻害薬で骨関節炎,
 BCGで関節炎を生じる.
・他にIL-2製剤(メラノーマや腎細胞癌で使用): 線維筋痛症や血管炎, RA, PM, SpAの報告がある.
 G-CSFではRAの再燃や白血球破砕性血管炎の報告あり
 利尿薬: サイアザイドは日光過敏, 皮膚ループス, UA上昇による痛風のリスクも上昇する
 プロカインアミド慢性の使用でANA陽性率は50-90%となる. 薬剤性ループスとなる. 発熱や皮膚所見は少ない. 肺病変や軽度でまれ. 腎臓は保たれることが多い