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2018年1月12日金曜日

腸内細菌菌血症の治療期間

腸内細菌の菌血症における推奨治療期間は7-14とされている.

Propensity score-matched analysisにおいて短期間治療群(6-10) vs 長期間治療群(11-16)でアウトカムを比較した報告
(Clinical Infectious Diseases® 2018;66(2):172–7 )
・1769例の腸内細菌菌血症症例のうち, 385ペアを解析.
短期治療群では8日間[7-9]
 長期治療群では15日間[13-15]抗菌薬を使用.
感染フォーカスとして多いのはUTI3-4, ついで消化管が2割程度
 ほぼ全例が感染巣のコントロールがされている.

起因菌の頻度
・大腸菌やクレブシエラで大半を占める

アウトカム
・短期治療で死亡リスクが増加することはない.

UTIを対象としたRCTもあり,
≥18y, 女性の市中腎盂腎炎 248名のRCT.
(Lancet 2012;380:484-90)
・CPFX 500mg bid 7d vs 14dで比較.
・最初の7dOpen-label, その後7-14dDouble-blind.
 OutcomeCPFX終了後10-14dでの短期治癒率と42-63dでの長期治癒率
 (短期治癒率の評価は, 両群でCPFXが終了するタイミングが異なるため,

全患者で17-21日目, 24-28日目にフォローした)
・治癒は症状の改善と再燃が無いことを確認して判断.
患者は腎盂腎炎の診断が付く前に割り付けされており後に腎盂腎炎ではないと判断された場合, CPFX耐性菌の場合等は除外.

248名中, 最終的に解析されたのは156(62.9%)
・除外理由;

・Baseline;年齢は41-46.
・血液培養陽性例は2ー3割

アウトカム: 治癒率

・CPFX終了後10-14日目の治癒率, 長期治癒率は両者同等.
血液培養陽性群 vs 陰性群の比較では, 両者で治癒率は同等(陽性群 95% vs 陰性群 97%, p=0.412) 
・血液培養陽性群のみで, 7d投与群 vs 14d投与群の比較でも, 治癒率は同等(7d投与群 94% vs 14d投与群 96%, p=0.623)

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・感染巣がコントロールされていれば, 腸内細菌の菌血症の抗菌薬投与期間は1週間程度でOKと言える.
・反応が悪い症例やなかなか臨床所見の改善がない場合, 局所検体のグラム染色所見によっては延長を考慮するという感じ.