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2018年4月14日土曜日

Schnitzler Syndrome

Schnitzler syndrome

Schnitzler syndromeは蕁麻疹様皮疹, M蛋白血症, 好中球由来の炎症所見で定義される疾患
・40歳以上の慢性蕁麻疹+M蛋白不明熱で疑う疾患
(Allergy 2017; 72: 177–182. )

SchSの症状/所見頻度
・慢性経過の蕁麻疹様皮疹, 炎症反応, 発熱, M蛋白血症,
 骨痛や関節痛, リンパ節腫大など
・M蛋白血症はIgMκが8-9割を占める

M蛋白血症は診断時には認めないこともある診断後数年経過して生じることもある.
・10年以内に血液腫瘍を発症するリスクは15%.
 その大半がWaldenstrom macroglobulinemia.
 どの患者群でリスクが高いかは不明
(Immunol Allergy Clin North Am. 2014 Feb;34(1):141-7. )

診断基準:

各クライテリアの感度, 特異度
・慢性的な蕁麻疹を呈する類似した病態である, 42例のSchnitzler syndrome, 12例のAOSD, 7例のCryopyrin-associated periodic disease, 9例のWaldenstrom disease, 10例の慢性蕁麻疹患者において評価.
(Allergy 2017; 72: 177–182.)

SchSの鑑別疾患

SchSの治療
・他の自己炎症性疾患と同様抗IL-1β抗体を使用する
 他はステロイドやコルヒチンが一部で効果的

SchS 281例のLiterature review
(Clinical and Translational Allergy 2014, 4:41 )
・~20148月までに発表された症例報告をReivew
発症年齢は51蕁麻疹は発熱の3[1-14]前から生じている.
症状は慢性蕁麻疹間欠性発熱関節痛(関節炎は少ない)
 骨痛体重減少血管浮腫など

血液検査
・M蛋白はIgMκが多い.

病理所見
・皮膚への好中球浸潤を認める
 血管炎所見もあるがOverestimationの可能性が示唆
SchSは好中球性蕁麻疹が主で
 血管炎は認めないか, 主な所見ではないのが基本.
免疫染色では3割で陽性. IgM, C3が多い
ちなみに, 同様の皮膚所見を呈する疾患(Neutrophilic urticarial dermatosis)は
 AOSD, Lupus, Schnitzler syn. Cryopyrin-associated periodic syndromeがある
( J Am Acad Dermatol 2012;67:1289-95.) 

骨所見では,
・骨過形成が認められる.
 シンチでは取り込みの増加

関連する血液腫瘍は
WM, Lymphoma, MMなど
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WMでも発熱やリンパ節腫大, 肝脾腫, 関節症状, 骨病変などは生じる.
ではWMとSchSはどう違うのか?
そもそも同じ病気?
WMは血液腫瘍でSchSは自己炎症性疾患で違う病気なのか?

この辺は調べても明確に記載している論文はない
過去にはWMにSweet症候群(好中球性皮膚症)と40度の発熱を合併した症例報告もあり, それではSchSではなくWMとして扱われていた。

WMとSchSの好発年齢も50-60歳台と近い.

WMの皮膚症状はどのようなものがあるのか?

WMの皮膚症状は稀で5%程度
・腫瘍浸潤によるものと,
 過粘稠に伴う皮膚所見
 クリオグロブリン血症による皮膚所見が主.
他にM蛋白に特異的な免疫による水疱形成や丘疹
Schnitzler Syndrome(好中球性蕁麻疹)
 播種性黄色腫
 紫斑
 蕁麻疹
 Sweet症候群(好中球性皮膚症)が報告されている
(Ann Dermatol 30(1) 8790, 2018)

WMで皮膚症状を呈することはそもそも稀であり,
生じる場合はクリオや過粘稠、腫瘍浸潤、免疫反応がやはり多いのだろう
それが好中球の浸潤を伴う蕁麻疹を認め、さらに臓器傷害を伴うものをSchSと認識したらよいような感じ. 

まあそんな認識でいることにしよう